ECの物流アウトソーシング先には、「定額系物流サービス(以下、定額物流)」と「カスタム系物流サービス(以下、カスタム物流)」という考え方があります。
定額物流は、サービス内容と料金があらかじめ決まっている物流サービス、カスタム物流は、荷主に合わせたサービスと見積もりを提供する物流サービスです。物流業務のアウトソーシング先を探すときには、基本的に、定額物流から始めることをおすすめします。
なぜなら、定額物流は商品1個からでも対応可能な場合が多く、コストを抑え、小規模からスタートできるからです。事業が成長して出荷数が増え、定額物流では対応できない要望や課題が出てきた段階で、はじめてカスタム物流を検討すると良いでしょう。
本記事では、定額物流の特徴とメリット、注意点、具体的な定額物流サービスなど、定額物流サービスを検討、アウトソーシングする際に知っておきたいことをまとめました。
定額物流の特徴とメリット

料金体系がシンプル
定額物流の利用料金は、基本的に「配送料」「入庫量」「保管料(個数×日数)」から成ります。通常、サイトに料金表が掲載されているので、月の平均的な出荷数と出荷の多いサイズから、検討時におおよそのコストを計算することができます。倉庫での作業や保管スペースなど、実際に利用した分に対してのみ料金が発生するため、コストを抑えることができます。
1個(小規模)から出荷可能
定額物流は、商品1個から利用できるサービスがほとんどです。カスタム物流サービスはある程度の規模がないと対応してもらえませんが、定額物流サービスであれば、スタートアップや個人、小規模の事業者も、気軽に利用できます。
サービス内容が決まっている
定額物流では、どの利用者に対しても一律にサービス内容が決まっています。カスタマイズができないというデメリットはありますが、見積もりや個別の調整が不要で、すぐに利用開始できるというメリットもあります。基本的にEC物流に必要な作業はすべてサービス内容に含まれています。
定額物流の注意点

臨機応変な対応、カスタマイズはできない
定額物流は、あらかじめ決まったサービス外の対応、カスタマイズはできません。そのため、事業が成長すると、定額物流では不十分な点が出てくるかもしれません。その場合、カスタム物流を検討しましょう。定額物流を利用する際は、将来的には他のサービスへの移行や自社物流の構築の可能性があることを考慮しておいたほうが良いかもしれません。
また、たとえばアパレルのハイブランド品など、保管から出荷までに特別な対応が必要な商品は、定額物流の倉庫では扱えないことがあります。
代表的な定額物流サービス
定額物流で代表的なサービスとしては、次のようなものがあります。いずれも定額物流の特徴は共通しますが、サービスによって独自の特徴もあるので、自社に状況に合ったサービスを選びましょう。
Full Fillment by Amazon(FBA / FBAマルチチャネル)
Amazonが提供している物流サービス。FBAはAmazon出品者向けのサービスだが、FBAマルチチャネルサービスを利用することで、Amazon以外の販売チャネルで販売している商品の出荷・配送・在庫管理もアウトソースできる。
利用料金は、在庫保管手数料+配送代行手数料から成る。定額物流サービスのなかでは、やや料金体系が複雑。
在庫保管手数料は、商品サイズ(体積)と保管日数により算出される。FBAマルチチャネルサービスでは、2019年7月16日以降、配送代行手数料が改定され、商品サイズによる区分の細分化と大幅な料金値上げとなる。
これを受けて、Amazon以外の販売チャネルの商品については、FBA倉庫以外を検討する事業者も増えている模様。
▼FBAで国内発送も海外発送もAmazonにおまかせ
https://services.amazon.co.jp/services/fulfillment-by-amazon.html
LogiMo Pro(ロジモプロ)
EC物流大手の株式会社清長が提供している物流サービス。清長は大・中規模EC物流でも多くの実績を持つ会社であり、安心感がある。ネクストエンジン、シッピーノと連携あり。
利用料金は、配送料+入庫量+保管料から成る。すべて1個あたり(保管料は日額1個あたり)の算出となり、シンプル。商品サイズ区分もわかりやすい。
追加オプションサービスがあり、追加ピッキングやラッピング、発送キャンセルや返品、代引きなどにも対応している。FBA納品代行も可能。
▼次世代型クラウド物流アウトソーシングサービス「LogiMo Pro」
https://www.logimopro.jp/
オープンロジ
株式会社オープンロジが提供している物流サービス。OPENLOGI APIにより自社システム、ネクストエンジン、ゴク―システムと連携あり。
料金体系は、倉庫利用料金(入庫量+保管料/日)+配送料金から成る。すべて1個あたりの算出となり、シンプル。商品サイズ区分もわかりやすい。
セット組、ギフトラッピング、独自梱包資材、代引きなどへのオプション対応もあり。FBAやZOZOTOWN、BUYMAなどへの納品代行も可能。
▼固定費ゼロ・従量課金で利用できる物流アウトソーシングサービス「OPENLOGI」
https://www.openlogi.com/
定額物流サービスの選び方

定額物流の料金体系はどこも似ていますが、月の出荷量や多いサイズによって、サービスによる料金の開きが生まれます。サイト上に料金表が掲載されているので、現在の出荷状況で、どの程度のコストになるか各サービスでおおまかに算出してみると良いでしょう。
定額物流サービスは基本的にサービス内容が決まっていますが、オプション対応が可能なものもあります。どうしても対応してほしいことがある場合、そのサービスにコストを抑えて対応できるサービスを選びましょう。
国内800以上の物流サービスと連携しているEC自動出荷「シッピーノ」