2019年2月、FBA(フルフィルメントby Amazon)の手数料が改定されます。
2018年まで、大手宅配会社の料金改定が続きましたが、FBAでもついに配送料金が値上げとなります。まずはどの程度の影響があるのか、数字を基に全体を見てみたいと思います。
また、今回の手数料改定では、FBA配送代行手数料の他に、在庫保管に関する手数料も改定となりますが、こちらは全体的な値下げとなります。この点も加味して、配送コスト増大への対策を考えたほうが良いでしょう。
本記事では、2019年2月のFBA手数料改定を受けた対策に役立つよう、具体的な変更内容と重要な点をまとめます。
改定のポイントは3つ

2019年2月のFBA手数料改定では、以下の3種類の手数料の改訂が行われます。すべて2月中に行われますが、適用開始のタイミングはそれぞれ異なっています。
- FBA配送代行手数料:2019年2月21日出荷分から適用
- 在庫保管手数料:2019年2月1日在庫分から適用
- 長期在庫保管手数料:2019年2月15日在庫分から適用
FBA配送代行手数料の改訂については、宅配業界の標準に合わせてサイズ区分がより細かくなり、サイズ区分ごとに新たな料金が設定されます。一部若干の値下げになるケースもありますが、ほとんどのサイズについて値上げとなっています。
在庫保管手数料の改訂については、従来の料金よりも安くなります。また、従来の季節ごとの料金の変動に加え、小型・標準商品と大型商品とで料金が変わります。長期在庫保管手数料の改訂については、これまで年2回だった在庫一掃チェックが毎月実施される代わりに、長期在庫保管手数料が安くなります。
それぞれの手数料改定について、さらに詳しく見ていきましょう。
配送代行手数料はほぼ値上げ
FBA配送代行手数料は、従来、以下のように小型商品/標準商品/大型商品の大きな3つのサイズ区分に加え、大型商品にはさらに4つのサイズ区分があり、それぞれ個数あたりの料金が設定されていました。
- 小型商品:25×18×2cm未満かつ250g未満 226円/個
- 標準商品:45×35×20cm未満かつ9kg未満 360円/個
- 大型商品
‐区分1: 3辺合計100cm未満 622円/個
‐区分2:3辺合計100~140cm未満 627円/個
‐区分3:3辺合計140~170cm未満 738円/個
‐特殊大型:3辺合計170~200cm未満 1,398円/個
このサイズ区分はFBA独自の基準であり、一般的な配送サービスに比べると大まかな区分で、リーズナブルな配送料金を提供していました。しかし、2019年2月の手数料改定(2月21日出荷分から適用)では、配送業界の標準的な基準が導入されました。
標準商品は重量も加味した3つのサイズ区分に、大型商品は4つから重量も加味した8つのサイズ区分に細分化されます。小型商品のサイズ区分に変更はありませんが、配送代行手数料は値上がりします。
改定後のサイズ区分と手数料は以下の通りです。△は改定後に値下げとなる料金と差額、▲は改定後に値上げとなる料金と差額です。
また従来、価格が45,000円以上の商品はFBA配送代行手数料が免除されていましたが、新料金体系では、以下の区分に従って料金が発生するようになります。
- 小型商品 252円/個▲26円
- 標準商品
‐1:33×24×2.8cm未満かつ1kg未満 354円△6円
‐2:3辺合計 60cm未満かつ2kg未満 397円▲37円
‐3:3辺合計80cm未満かつ5kg未満 419円▲59円
‐4:3辺合計100cm未満かつ9kg未満 490円▲130円 - 大型商品(従来の区分1)
‐1:3辺合計60cm未満かつ2㎏未満 565円△57円
‐2:3辺合計80㎝未満かつ5㎏未満 678円▲56円
‐3:3辺合計100㎝未満かつ10㎏未満 764円▲142円 - 大型商品(従来の区分2)
‐4:3辺合計120cm未満かつ15㎏未満 889円▲262円
‐5:3辺合計140cm未満かつ20㎏未満 940円▲313円 - 大型商品(従来の区分3/従来の特殊大型)
‐6:3辺合計160㎝未満かつ25kg未満 983 円▲245円
‐7:3辺合計180㎝未満かつ30㎏未満 1,393円▲605円~△5円
‐8:3辺合計200㎝未満かつ40㎏未満 1,569円▲171円
※3辺合計200cm以上または重量40kg以上は利用不可
参考に、ちなみに、2018年に相次いだ宅配大手各社の値上げについて、以下の記事にまとめています。今回のFBA配送代行手数料の改訂と、以下の記事の値上げ幅を見ると、このくらいの金額を上げないと、サービスの維持が厳しい状況であるというのが感じられます。
▼参考:【2018年版】
ヤマト運輸/日本郵便/佐川急便 改訂後の新運賃とサービスまとめ!運賃値上げへの対策
https://www.shippinno.net/netshop-blog/shukka_hassou/souryoukaitei/
出荷1件あたり上記の分だけコストが上がるとなると、EC事業者にとっての負担は無視できないものとなるでしょう。販売価格に反映するか、あるいは他の部分でコストを縮小するか、何らかの対策が求められるところです。
FBAを利用していると、受注・物流業務で現状以上の効率化はなかなか難しいように思えますが、FBA倉庫への納品や、多店舗展開でFBA以外の倉庫を利用している場合、そこを効率化することでコストを抑える余地があるかもしれません。
なお、今回改定となった配送代行手数料の他に、メール便サイズで低単価な商品に適した「FBA小型・軽量商品プログラム」について、2019年3月以降に手数料改定が予定されているため、こちらも注視しておきたいところです。
また、FBA配送代行手数料はほぼ値上げになりますが、在庫保管に関する手数料は、値下げになります。
在庫保管手数料は値下げになる

従来の在庫保管手数料は、小型/標準/大型商品すべて共通で、1月~9月と10月~12月で料金がわかれていました。
2019年2月1日在庫分から適用される改定後の手数料は、小型/標準商品と大型商品とで料金が違います。1月~9月と10月~12月でわかれているのは従来通りです。
具体的には以下の通り。△が安くなった金額です。
基本金額×([商品サイズ(cm3)]/(10cmx10cmx10cm)× [保管日数]/[当月の日数]
の計算式で、料金が求められます。
- 小型・標準商品
1~9月:基本料金5.070円△2.730円
10月~12月:基本料金9.000円 - 大型商品
1~9月:基本料金4.290円△3.510円
10月~12月:基本料金7.615円△1.385円
また、長期在庫保管手数料について、従来は年2回、2月15日と8月15日が在庫一掃チェック実施日となっていました。
対象は、2月15日時点でフルフィルメントセンターに6~12カ月保管されている商品と、8月15日時点で12カ月以上保管されている商品で、10cm x 10cm x 10cm あたりそれぞれ、87.4285円、174.857円の手数料がかかっていました。
それが今回の手数料改定により(2019年2月15日在庫分から適用)、在庫一掃チェックじっちびが毎月15日となり、対象はフルフィルメントセンターに365日を超えて保管されている商品、手数料は10cm x 10cm x 10cmあたり17.450円となります。
配送に関連する料金は、配送業界の人手不足などの問題もあり、上げざるを得ないところがありますが、その分、在庫保管料で調整をかけようとする意図があるのではないでしょうか。
料金シミュレーターで計算、比較
自社でFBAを利用するとどのくらいのコストがかかるかを、Amazonが公式に提供している、FBA料金シミュレーターで確認することができます。
https://sellercentral.amazon.co.jp/fba/profitabilitycalculator/index
このシミュレーターでは、商品を指定することで、自社発送と比較した改定前後の料金と、FBAの改訂前後の料金を比較確認することができます(2018年2月8日時点)。
商品ごとのシミュレートになるので、主要な商品が限られているときや、商品価格にどの程度反映すべきか検討する際に役立つのではないでしょうか。
EC業界全体として、配送料金は値上げ傾向にありますが、商品サイズや個々の状況によって値上げの幅や対策も異なってくるので、まずは具体的に自社の商品や状況に応じた計算をしてみると良いのではないかと思います。