マケプレプライム利用でFBA以外でもプライムマークがつく

Amazon.co.jpで買い物をするときに、商品についている「Amazonプライム」のマーク。このマークのついている商品は、Amazonにより、出荷・配送品質が認められたものであり、通常配送は配送料無料、Amazonプライム会員はお急ぎ便も無料で利用できます。

ユーザーにとって、Amazonプライムマークは信頼性および利便性が高い商品を示すものであり、同じ商品を買うのならばプラムマークがついた商品が選ばれる可能性が高いでしょう。

Amazonへの出品者(出店者)が、Amazonプライムマークを表示させたいという場合、一番簡単なのはFBA(フルフィルメント by Amazon)を利用することです。FBAを利用している商品には自動的にプライムマークがつきます。

ご存じの方も多いかとは思いますが、FBAとは、Amazonが提供する配送代行サービスで、Amazonの倉庫にあらかじめ商品を納品しておくだけで、受注から購入者への商品配送、さらには返品の際のカスタマーサポートまで、Amazonが代行してくれます。

ただし、場合によってはFBAを利用できないことがあります。かつては、FBAを利用しない出品にプライムマークをつけることはできませんでしたが、FBAと同等の配送品質で商品を届けることのできる出品者であれば、FBAを利用しない商品についても、「マケプレプライム」を利用してプライムマークをつけることができるようになりました。

そこで本記事では、マケプレプライムを利用するための方法と条件、マケプレプライムを利用することによるメリットと効果、一方でマケプレにおけるデメリットとその解決法についても解説していきます。

FBAとの違い、取り扱いできない商品とは

マケプレプライムの公式ページを参照すると、以下のような商品はFBAで取り扱えない商品、もしくは取り扱いにくい商品となっています。具体的なケースとしては、少量多品種で季節商材も多いアパレル商材や、冷蔵・冷凍あるいは生鮮などの食品、家具などがあげられます。

・取り扱い注意の危険物および化学薬品
・室温で保管できない商品
・賞味期限の短い商品
・サイズが大きい商品
・医療機器、医薬品
・季節商材
・在庫回転率が低い商品 など

また、在庫分散が難しい商品、すでに自社で在庫システムを持っていてそちらを利用したい場合などもあるでしょう。これは、実店舗でそれなりの規模の売上を持っており、新たにEC事業としてAmazonに出店した事業者などにあてはまるでしょう。

マケプレプライム利用のメリット、効果

新規顧客獲得・売上向上

マケプレプライムを利用するメリットとしては、まず、新規顧客の獲得、売上の向上があります。Amazonが2017年4月に行った調査によると、マケプレプライムを利用した出品者の75.8%が、利用前と比較して「Amazonでの売上が向上した」と回答しています。

特に、競合商品が多い場合、プライムマークは必須のものとも言えるかもしれません。消費者はAmazonでの購入時に「安さ」を求める傾向が強いですが、マーケットプレイス詐欺の問題もあり、ただ安いだけでは購入を躊躇う傾向にあります。

Amazonプライム会員の割合自体は、日本ではまだ16.6%というデータもありますが(※)、プライム会員でない消費者にとっても、プライムマークがついているかどうかは、購入を判断する重要な指標となっているようです。
※週刊東洋経済・NTTコムリサーチの共同調査「Amazonの利用に関する調査結果」より(実施期間:2017/05/26~2017/05/31/有効回答者数:1,071名)

マケプレプライム利用事例のひとつとして、公式ページでは、組み立て家具やキッチン用品を取り扱う事業者が紹介されています。

この事例では、FBAでは取り扱えないが、売れ筋になるだろう商品からマケプレプライム利用を始めています。結果として、売上が上がったことはもちろん、セールのような瞬発的な売上ではなく、毎日の売上が少しずつ伸びて乗算されていったことが大きかったとのこと。マケプレプライムは、単なる価格競争ではない、セール頼みでもない、新たな売上向上施策となるようです。

ショッピングカート獲得による購入率の向上

また、マケプレプライムの利用は、ショッピングカートボックス獲得の可能性を高めるというメリットもあります。

Amazonの特徴のひとつとして、同一商品を複数の出品者が販売している場合、商品詳細ページに複数の出品者が販売元として表示されます。これがショッピングカートボックスで、「ショッピングカートボックスの獲得」とは、同一商品を複数の出品者が「新品」で販売している場合、ショッピングカートボックスに自社の出品商品が表示されることを指します。

ショッピングカートボックスの獲得資格は、大口出品者を対象として、以下のような要件を基に、一定のパフォーマンスを到達している出品者に付与されます。

これらの要件の具体的な指標は非公開となっていますが、顧客満足度の高い配送レベルを提供できるマケプレプライムを利用することで、ショッピングカートボックスの獲得率は高くなります。また、ショッピングカートボックスに表示されるということは、購入率のアップにもつながります。

・注文不良率:購入者からの評価、Amazonマーケットプレイス保証やチャージバックの申請率の割合を元に算出される。
・その他の出品者のパフォーマンスの指標
・配送スピード、配送方法、価格、FBAの利用によるものも含む年中無休のカスタマーサービスなどを通じて、商品と共に購入者に提供されるショッピング体験全般。
・Amazon.co.jpで出品している期間と取引の数

その他、価格や在庫状況、配送料金や配送オプション、カスタマーサービスなども、ショッピングカート獲得に関わってきます。

マケプレプライム開始条件と手順

マケプレプライムを利用するにはどうすれば良いのでしょうか。マケプレプライムの利用には追加料金はかかりませんが、一定の条件を満たす必要があります。

まず、マケプレプライムを利用するには、Amazon出品(出店)サービスにおいて、大口出品への登録が必要です。大口出品に登録が済んでいれば、マケプレプライムへの登録を行うことができます。

マケプレプライムへの登録を行ったら、次に、マケプレプライムの対象商品を設定します。対象商品は自由に設定、変更することができます。

商品を設定したら、マケプレプライムトライアルの期間となります。この期間は、マケプレプライムで求められる配送品質を保つために、出荷オペレーションや配送会社との調整を行うために設定されています。

トライアル完了後、マケプレプライムの条件を満たした商品については、Amazonプライムのマークが表示されるようになります。

マケプレプライムを利用するためには、トライアル期間中の直近50の注文の平均が、以下の条件を満たす必要があります。

1. マケプレプライムトライアルで定められた出荷実績、配送品質の維持
・注文即日の出荷率が99%以上
・追跡可能率が94%以上
・出荷前キャンセル率が1%未満など
2. 日本全国への通常配送、出品者が選択した対象地域へのお急ぎ便の提供
※お急ぎ便の対象地域については、全国47都道府県+離島5エリアのうちから、対象としたい地域を自由に設定できる。
3. 通常配送料無料の提供、Amazonプライム会員へのお急ぎ便送料無料の提供
4. Amazon上で追跡が可能な配送方法の利用
(ヤマト運輸、日本郵便のお問い合わせ番号がある配送方法)
5. Amazonのポリシーに基づく返品・返金対応

※土日・祝祭日は、初期設定では出荷しない日としてみなされる。
※長期休暇や平日定休日はマケプレプライムの設定を随時変更することが可能。

マケプレプライムのデメリット

マケプレプライムを利用することにより、多くの場合、新規顧客の拡大、購入率・売上の向上が見込めます。

一方で、FBAを利用せずに、マケプレプライムに必要な出荷クオリティを維持するには、より厳密な人的作業が必要になり、簡単なことではありません。そもそもFBAを利用できない商品というのは、在庫管理や出荷作業に手間がかかる場合が多いのでなおさらです。この点は、マケプレプライムのデメリットと言えるでしょう。

さらに、昨今の宅配業者問題により、配送業者の集荷の締め時間がどんどん早くなっているという状況もあります。そのため、受注から出荷指示を、確実かつさらに迅速に行う必要が出てきています。

人的リソースの不足、ミスなどで出荷が遅れる、その他出荷クオリティがマケプレプライムの基準を下回ってしまうと、プライムマークをつけることができなくなります。また、いくらプライムマークを維持して売上が上がっても、それ以上に人員やコストを要するようであれば、せっかくのマケプレプライムも利用しない方が良いということにもなりかねません。

これらの事態を防ぎ、マケプレプライムのデメリットをカバーするためには、自社内で作業を完結させようとするのではなく、新たなサービス、システム、ツールを利用するのも有効な手段です。

マケプレプライムで品質を維持する方法

そこで利用したいのが、FBAでは取り扱えない商品も取り扱える出荷自動化サービス。EC自動出荷Webサービスのシッピーノが提供する、クラウド型倉庫管理システム「ロジザードZERO」との自動連携を行う「シッピーノロジザードプラン」です。

このプランでは、ロジザードZEROを導入している物流倉庫からの自動出荷が可能になります。また、このプランの特徴として、商品ごとの細かい要望にも対応することができ、冷蔵品・冷凍品も取り扱いが可能です。そのため、FBAで取り扱いが難しかったアパレル商材や食品などで活用することができます。

ただし、出荷数が少ないと割高になってしまうので、ある程度の出荷数のある中~大規模の事業者様におすすめです。また、ECサイト一見管理システムとして「ネクストエンジン」を利用します。

これにより、受注から出荷までの一連の作業をすべて自動化でき、サイト運営者がチェックするのはエラーが起きたときだけという、FBAと同じ状況を作り出すことができます。

これにより、人的リソースを増やすことなく迅速な出荷関連作業が可能になり、マケプレプライムのクオリティを無理なく維持することが可能です。また、ロジザードZEROは全国約800件の倉庫で導入されている実績あるシステムであり、その点も安心できます。

EC市場の拡大、特にAmazonマーケットプレイス市場は、市場の大きさと出店の簡単さもあり成長を続けており、競争が激しくなっています。その中でFBAは非常に便利なサービスなのですが、今回紹介したように、FBAが利用できないケースも存在します。そんなとき、人力で何とかするのではなく、FBAに代わるサービスを活用できれば、差別化や中長期的な成長につなげることができるでしょう。

シッピーノ資料DL