2017年は、ヤマト運輸をはじめとして、佐川急便、日本郵便と運賃・サービス改訂の発表が相次いだ年でした。
ヤマト運輸の運賃・サービス改訂の際に一度各社のサービスについてまとめていますが、その後、佐川急便、日本郵便の発表があったことを踏まえ、改めて、2018年の各社の新運賃とサービスをまとめてみます。
発表された新運賃は個人向けの運賃ではありますが、法人の契約であっても、今回の新運賃に準じて値上げの話が出ているようです。
なお、各社の新運賃の適用は以下の日からスタートとなっています。
ヤマト運輸:2017年10月1日
佐川急便:2017年11月12日
日本郵便:2018年3月1日
日本郵便は新運賃の開始時期が遅いこともあり、2017年の年末は、日本郵便に荷物が集中するという問題も起きたようです。
宅配各社では、運賃・サービスの改訂と共に、労働環境の改善も進めており、今後、年末年始のような繁忙期や、セール時などに荷物の遅延が起こりやすくなるでしょう。
そういった宅配業界の状況を踏まえ、今後、EC事業者がどういった対策を取るべきかについても考えていきます。
ヤマト運輸の運賃・サービス改訂詳細
ヤマト運輸では、2017年10月1日より、運賃の改定を行いました。関東発関西の荷物の場合は、以下の運賃と値上げ幅になります。
値上げ幅はほとんどの地域で同様ですが、四国・九州・沖縄発便および四国・沖縄着便のみ違います。
60サイズ:940円(+140円)
80サイズ:1,140円(+140円)
100サイズ:1,360円(+160円)
120サイズ:1,560円(+160円)
140サイズ:1,780円(+180円)
160サイズ:1,980円(+180円)
なお、クール宅急便、宅急便タイムサービス、超速宅急便、S-PAT9時便の付加料金には変更はありません。
また、運賃改定に先立ち、2017年6月19日より、配達時間帯の指定枠の変更が以下のように行われました。
12時~14時→廃止
20時~21時→119時~21時
その他、スキー宅急便・ゴルフ宅急便・スーツケース、バッグ類の運賃改定、上限サイズ引き上げや、宅配便のサイズ以上の荷物や高額の荷物を扱うヤマト便も、2017年6月19日より運賃・サービスの改訂が行われています。
さらに、これは主に消費者に関係するところですが、2017年4月24日より、当日の再配達受付締め切り時間の繰り上げも行われました。
佐川急便の運賃・サービス改訂詳細
佐川急便では、2017年11月12日より、運賃の改定を行いました。
飛脚宅配便の場合、全国一律で次の値上げとなります。
100サイズ:+60円
140サイズ:+230円
160サイズ:+180円
これにより、関東発関西では、以下のような運賃となっています。
100サイズ:1,360円(+60円)
140サイズ:1,780円(+230円)
160サイズ:1,980円(+180円)
また、170サイズ以上の飛脚ラージサイズ宅配便の場合、改訂金額は、最小1.1%、最大133.3%、平均17.8%の値上げ率となっています。
たとえば、関東発関西着の170サイズの荷物の場合、運賃は2,300円から2,850円へと値上がりしました。
また、飛脚クール便の追加料金も値上げとなっており、関東発関西着の場合、サイズによって100~350円の値上げとなります。
その他、代金引換サービス「e-コレクト®」代引手数料の改定、飛脚特定信書便の運賃改定(100サイズ以上)、スキー用具の受託時の適用サイズ上限の改定、飛脚国際宅配便の受託時の容積重量算出基準の変更、大型家具家電設置輸送の設置料金の改定が行われました。
ちなみに、佐川急便では、年末年始の繁忙期には、集荷受付を前日までの予約性として対応していました。
日本郵便のサービス・運賃改定詳細
日本郵便は、2018年3月1日より運賃の改定を行います。発着地によって値上げ幅は違いますが、関東発近畿着の場合は、以下の運賃と値上げ幅になります。
60サイズ:950円(+100円)
80サイズ:1,180円(+110円)
100サイズ: 1,410円(+120円)
120サイズ: 1,660 円(+160円)
140サイズ: 1,910円(+190円)
160サイズ: 2,120円(+190円)
170サイズ:2,480 円(+230円)
この他、重量が25kg超30kg以下の荷物には「重量ゆうパック」が新設され、基本運賃に加えて500円が加算されます。
その他は、現時点では(2017年12月下旬)、新たな追加料金はありません。
日本郵便の運賃値上げの時期がやや遅いこともあり、2017年から2018年にかけての年末年始は、1日~2日、また、場合によってはそれ以上の遅延も出ていたようです。
ヤマト運輸/佐川急便/日本郵便の新運賃比較とまとめ
ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の新運賃と値上げ幅について、以下の表で比較することができます(2017年12月末時点)。
ヤマト運輸 | 日本郵便 | 佐川急便 | ||||
サイズ | 改訂運賃 | 値上げ幅 | 改訂運賃 | 値上げ幅 | 改訂運賃 | 値上げ幅 |
60 | 940円 | 140円 | 950円 | 100円 | – | – |
80 | 1,140円 | 140円 | 1,180円 | 110円 | – | – |
100 | 1,360円 | 160円 | 1,410円 | 120円 | 1,360円 | 60円 |
120 | 1,560円 | 160円 | 1,660円 | 160円 | – | – |
140 | 1,780円 | 180円 | 1,910円 | 190円 | 1,780円 | 230円 |
160 | 1,980円 | 180円 | 2,120円 | 190円 | 1,980円 | 180円 |
170 | – | – | 2,480円 | 230円 | 2,850円 | 550円 |
これまで、ヤマト運輸は料金が高いと言われていましたが、新運賃ではそうとも言えなくなってきます。
運賃が横並びになってきたことで、配送のクオリティーやサービス内容、また、単純に近所だったり手が空いていたりする宅配業者に頼むという流れが出てくるかもしれません。
これは個人が利用する場合の宅配運賃ですが、法人で契約している場合も、同様の流れがあるでしょう。
たとえば、自宅外での受取サービスや、配達の事前通知など、宅配業者を選ぶ基準は変化していくのではないでしょうか。
運賃の値上げにどう対抗するか?販売価格への転嫁、送料の引き上げを防ぐ
EC事業者は、2017年の宅配運賃値上げを踏まえ、2018年はどう動くべきなのでしょうか。
商品の販売価格への転嫁や、消費者向けの送料設定の見直しなどを検討している、すでに実行している事業者も多いと思います。ただ、その前に検討したいのが、出荷関連業務のアウトソースや、現在の物流倉庫の見直しです。
出荷関連業務をアウトソースすると、利用料金に配送料も固定で含まれており、配送料分の支払いが毎月変動することを避けられます。そして、全体で見たときのコストを下げることも可能です。
他にも、アウトソースにより出荷関連の業務を効率化することができれば、その分のリソースを販促や商品開発にあて、売上と利益を伸ばすという方法もあります。
特に、今まで出荷を自社で行っていた中小規模のEC事業者や、現在の物流倉庫に不足を感じている場合は、検討をおすすめします。
たとえば、おすすめとしては、以下のようなサービスがあります。
FBA(フルフィルメント by Amazon)
Amazonが提供する物流サービス。Amazonが持つ配送システムを活用し、商品の保管から注文処理・出荷・配送・返品に関するカスタマーサービスまでをアウトソースすることができます。
また、自社ECサイトやモール店舗、実店舗など、Amazon以外の販売経路で販売している商品についても、出荷・配送・在庫管理までAmazonが代行して運用する、FBAマルチチャネルサービスというサービスもあります。
料金は、出荷作業手数料(個数あたり)+配送手数料(出荷あたり)となります。メディアとメディア以外のカテゴリ、荷物のサイズ、配送方法(「標準配送」と「お急ぎ便」)により料金が変動します。
詳細は以下の資料をご覧ください。
EC向けプレミアム物流サービス大手の(株)清長が提供する、中小EC向け物流サービスLogiMoPro(ロジモプロ)
EC向け物流サービス大手の(株)清長が運営する物流代行サービスです。料金は、メール便と宅急便4サイズによって分かれており、配送料(全国一律、320~990円)+入庫料(18円/件)+保管料(0.3~10円/日)の合計×取扱件数となります。オプションサービスもあり、利用する場合は1件ごとに必要な分だけ追加料金となります。
【まとめ】宅配運賃値上がりへの対策は必須!早めの対応を
宅配運賃の値上げについて、2017年の時点ではまだ様子見のところがあったかもしれませんが、2018年は急いで対応した方が良い年と言えるでしょう。
2017年~2018年にかけての年末年始の宅配の混雑具合からしても、何かトラブルが起きてからでは遅くなります。
繁忙期の波が落ち着いたら、ぜひ検討してみてください。