三連休最終日の7月16日から翌17日にかけて、Amazonの大型セールである「プライムデー(primeday)」が開催されました。参加された方も多いのではないでしょうか。
Amazonでは通常時も小規模なタイムセールやキャンペーンは行われていますが、大型のセールはこの「プライムデー」と、年末に行われる「サイバーマンデー」の2つ。プライムデーはプライム会員向けのセールで、サイバーマンデーはプライム会員以外のユーザーも参加できるセールです。
プライムデーは、EC事業者から見ると、Amazonユーザーの中でも有料会員であるコアなユーザーがどういった商品を買うのか、また、どれぐらいプライム会員が増えるのかといった点が注目です。
最近は、初めて買う商品は、まずAmazonで買ってみて、商品やその店舗が気に入ったら独自サイトで買うというユーザーの動きも見られます。自社サイトを運営しているEC事業者にとっては、Amazonが新規顧客獲得の場になることもあるようです。
そういった意味でも、Amazonをよく利用するユーザーが何に興味を持ち、どう行動しているのかというのは、見逃せないところでしょう。
■Amazonプライムデー2018概要
2018年の「プライムデー」は、7月16日(月・祝)12:00~7月17日(火)23:59開催。
今年で4回目の開催となり、年々規模が大きくなっています。出品者数や商品数の増加はもちろんのこと、今年は開催時間が昨年から6時間延長されました。2017年は7月10日(月)18:00~7月11日(火)23:59の開催でした。
今年はプライムデー開催前および開催中、テレビCMの放映も目立っていました。セール終了の2~3時間前にもCMが見られた程です。既存のプライム会員の集客はもちろんのこと、新規プライム会員および購入獲得にもかなり力を入れていたと考えられます。
そういった集客の効果もあり注目度は予想以上に高かったようで、プライムセール開始直後は、日本のみならず世界中でアクセス問題が起きる程でした。
プライムデーの主要な企画としては、次のようなものがあります。
・プライムデー特選セール
プライムデーの目玉。トップブランドや人気商品を、特にお得な価格で用意したセールです。
・プライムデー限定商品・先行販売
今回のプライムデーから始まった企画です。大きな効果を上げました。
・Amazonポイントアップキャンペーン
プライムデー期間中、全ての商品を対象として(Amazonギフト券、Amazonコイン、予約商品を除く)、合計10,000円以上の買い物で最大10%のポイント還元となるキャンペーン。
・数量限定タイムセール
最大8時間で終了する、時間・数量限定のセール「数量限定タイムセール」。通常時にも開催されているセール。
この他にも、「レジで割引セール」や「ポイントアップキャンペーン」など、お得なキャンペーンが用意されていました。
プライムデー開始からしばらくすると、数量限定タイムセールの商品に「キャンセル待ち」の表示が出るようになりました。キャンセル待ちに登録しておくと、商品を購入しかけていた人がキャンセルした場合、キャンセル待ちユーザーにアプリの通知で通知される仕組みになっています。
なお、プライムデー公式サイトでは、Amazonユーザーに向けて、セール開始前の準備として次のようなことを推奨していました。
・Amazonアプリのインストールと設定
「お知らせ通知」機能をオンにして対象商品を事前にほしい物リストに追加しておくと、 その商品のセールが開始した際に通知を受け取ることができる。また、Amazonアプリの「ウォッチリスト」機能を使用すると、タイムセールの開始通知を受け取ることができる。
・メールマガジンに登録
タイムセールの開催情報がメールマガジンで送付される。
■売上ランキングトップの商品は?プライムデー2018の結果
Amazonのプレスリリース「世界中のプライム会員のお客様に、Amazon史上最大のプライムデー2018をお楽しみいただきました(2018/07/19)」より、今回のプライムデー2018の結果を見ていきます。
なお、日本のプライムデーについて言えば、開始直後にアクセス問題はあったものの、配送については通常と変わらず、Amazonの配送システムの強さが感じられました。
□日本におけるプライムデー2018
過去のプライムデーおよびサイバーマンデーを含む36時間と比較し、Amazon史上最大のセールイベントとなりました。これは、世界でも同様です。
プライム会員以外も多く参加するサイバーマンデーよりも大きな盛り上がりになっているということで、プライムデーの注目度が伺えます。
日本では、Amazon.co.jpにおける36時間にわたる過去最高数の注文を記録、数十万点以上のファッションアイテムおよび数百万点以上の日用品の注文が発生しています。
日本でのベストセラーは「Fire TV Stick」と「Amazon Echo Dot」。
Amazonデバイスは割引率が特に高かったため、これを機会に購入するユーザーが多かったのでしょう。世界でも同様の傾向が見られます。ただし、世界的には「Fire TVファミリー」および「Kindle電子書籍リーダー」がベストセラーとなっているため、若干の違いはあります。
Amazonデバイスを除くと「【大容量】トップ スーパーナノックス 洗濯洗剤 液体 詰め替え 超特大1300g」がベストセラーとなっており、この機会に日用品を買いだめしておきたいというニーズが見られます。
お得な価格が多いAmazonプライベートブランドで最も多く注文された商品が「Happy Belly天然水 岐阜・美濃 (2L)×9本」であるのも、同様のニーズが感じられます。
その他、Amazonの各サービスでよく売れた商品は以下のようになっています。
・Prime Now
サントリー 天然水(南アルプス) 2L×6本
Fire TV Stick
森永乳業森永のおいしい牛乳 1000ml
・Amazonフレッシュ
フィリピン産 スミフル 【GACKTラベル】
甘熟王ゴールドプレミアムバナナ 1パック 600g
国内産 きゅうり 3本
国内産 玉ねぎ 1パック 500g
・Nipponストア
【精米】福島県産 白米 コシヒカリ 5kg 平成29年産
また、今回のプライムデーより始まった「プライムデー限定商品先行販売」では、以下の商品が多く注文されました。
・ダライアス コズミックコレクション特装版ゲームソフト
「サーガイア(GB版)」DLC配信
・Soundcore Liberty Lite(Bluetooth 5.0 完全ワイヤレスイヤホン by Anker)
・NEOGEO mini + プライムデー限定Tシャツセット
なお、「プライムデー限定商品先行販売」の中でも非常に高額な「【限定数1の商品】 ニューBMW X2ブラック・サファイア デビュー・パッケージ 1泊2日ドライブ旅行宿泊付き(頭金100,000円)」の注文も発生したとのことで、驚きです。
また、Amazonプライム会員を対象にJTBのECサイトで販売された、「カシオペア紀行 津軽半島満喫3日間:おひとり95,800円~236,000円(2名1室)」も完売しており、限定感のある高額商品へのニーズもあることが分かります。
□世界におけるプライムデー2018
今回のプライムデーでは新たに、オーストラリア・シンガポール・オランダ・ルクセンブルクのプライム会員の参加があり、世界17ヵ国において多くのプライム会員による買い物がされました。
プライムデー1日目の7月16日のプライム会員新規登録数は過去最高となっており、セール終了後に、多少の変動はあるかもしれませんが、プライム会員は引き続き増加傾向にあるようです。
また、7月16日には、「Fire TVファミリー」および「Kindle電子書籍リーダー」が最も多く注文されています。「Fire TVファミリー」はプライムデーの36時間で数百万台の注文が入っています。
その他、ビューティーアイテム、PCおよびPCアクセサリー、ファッションアイテム、キッチン用品の各カテゴリーで、500万点以上の商品の注文が発生しました。
Amazonデバイス以外の各国のベストセラーは以下の通り。家電、調理器具、電子機器など比較的高額なものが多い印象ですが、ところどころ日用品もあります。また、各国ごとに特徴が出ているのも面白いです。
・アメリカ
Instant Pot 6 Quart 7-in-1 全自動マルチクッカー
23 and Me 遺伝子検査キット
LifeStraw パーソナル水分フィルター
・イギリス
ボッシュ コードレスドリル
フィリップス Hue パーソナル ワイヤレス 蛍光灯
フィニッシュ 食洗機用洗剤タブレット
・スペイン
サンディスク ウルトラ 64GB メモリーカード
Cecotec Conga エクセレンス 990 4 in 1 iTech 3.0 ロボット掃除機
・シンガポール
コカ・コーラ ゼロ
Play-Doh 形と学習(思考)
クリネックス ウルトラソフト トイレットペーパー
・オランダ
Osmart Zigbee スマートプラグ
フィリップス Hue White Ambiance GU10 LEDスマート電球
サンディスク マイクロSD
・メキシコ
Ace 粉末洗濯洗剤
Amazonベーシック USB 充電ケーブル
・ルクセンブルク
Jamie Oliver ティファール 鍋
ブリタ 浄水フィルター
USBコネクタ付属の太陽光電気貯蔵瓶
・イタリア
フィニッシュ 食洗機用洗剤タブレット オールインワン マックス
ブラウン マルチシェービングキット 正確なトリマー あごひげスタイリング9-in-1
Hoover 充電可能な掃除機 2-in-1 Freedom
・インド
Redmi Y2 ゴールド 32 GB スマートフォン
Tata 塩、Mi 10000mAH リチウムポリマー Power Bank 2i
・ドイツ・オーストリア
PlayStation Plus メンバーシップ
Jamie Oliver ティファール 鍋
Osmart Zigbee スマートプラグ
・フランス
PlayStation Plus メンバーシップ
サンディスク ウルトラ 64GB メモリーカード
TP Link Wi-Fi接続プラグ
・中国
フィリップス ソニッケアー HX6730 歯ブラシ
ブラウン デジタル 耳体温計
・カナダ
Instant Pot 6 Quart 7-in-1 全自動マルチクッカー
LifeStraw パーソナル水分フィルター
Bose QuietComfort ノイズキャンセリング ヘッドフォン
・ベルギー
サンディスク ウルトラ 128GB メモリーカード
Osmart Zigbee スマートプラグ、フィリップス Hue 電球
・オーストラリア
Bonus Fortnite Content付きPlayStation 4 Pro 1TB ゲーム機
PlayStation 4対応FIFA 18、
フィリップス Hue 電球
■リアルイベント「Amazonプライムデー体験」
プライムデーには、インターネット上のセールだけでなく、Amazonプライムの特典・サービスを体験できるリアルイベントが、世界各国の特設会場で開催されました。
会場には、スマイルコードが付いた巨大なAmazonボックスが登場し、プライムデー限定商品や先行販売商品、プライムデーの目玉商品の一部の実物も見ることができます。
その他にも、さまざまな特別企画があり、アメリカなど海外の会場では、アリアナ・グランデの生出演や、deadmau5によるパフォーマンスを始めとするTwitch PrimeによるPUBG Squad Showdownを、世界の数百万のユーザーにストリーミングで紹介。
日本では、羽田空港と大阪の梅田とに特設会場が設けられ、1万7,000人以上の来場者がありました。
こうした企画により、新たなプライム会員を獲得するきっかけとなると共に、プライムデーが単なるECモールのセールではなく、ECを超えたイベントとして存在感を増しています。
■プライムデー2018から分かること
プライムデー2018の結果を見ると、まだまだAmazonのプライム会員は増える余地がまだまだありそうです。
Amazonの存在がますます大きくなる中で、EC事業者は、Amazonの集客力をうまく活用していく必要があります。繰り返しになりますが、自社サイトがある場合は、新規獲得をAmazonで行い、リピーターを自社サイトに誘導できると理想的です。
モールのみの運営の場合は、Amazonでリピートしてもらえるよう、広告などで上位表示をキープすることや、自社ブランドの商品であればブランドとしての認知度を上げることが重要になります。
また、プライムデーのような大型セールの時は、ほしいと思っていたけれど高額な商品か、いつも買うもののまとめ買いの2つの傾向があるので、そこを強化したいところ。逆に、店舗としてこの機会に売りたい在庫が余りがちな商品、あるいは新商品などは、残念ながらセールだからといって売れるわけではなく、個別のプロモーションが必要です。
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