■送料を値上げするEC事業者

ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便の運賃改定は、2018年に入って徐々にEC企業の業務やサービス内容に影響を及ぼしています。

宅配各社の個人客向けの運賃改定は、ヤマト運輸が2017年10月1日、佐川急便が2017年11月12日、日本郵便が2018年3月1日でしたが、法人はそれぞれ運賃が異なり、各企業個別の交渉となります。

そのため、影響が表れるのには時間差があります。また、EC企業としては、消費者に対して送料を値上げするのは、売上の低下などの心配が大きく、競合企業や市場の様子見をしている部分もありました。

しかし、2018年に入って、やはり送料の値上げを行うEC企業が増えていると感じます。一消費者としても、利用しているいくつかのEC店舗から、配送料改訂のお知らせがありました。

また、送料値上げの一方、多くのEC企業が取り組んでいるのが、物流業務の効率化です。

■代行サービスで物流業務を効率化

中小規模の企業の場合、EC事業の立ち上げ時、個人や少数のスタッフで、他の業務を兼務しながら梱包や出荷などの物流業務も事務所内でこなす、という形が多く見られます。しかし、ある程度の出荷があるのならば、業務をアウトソースした方が効率的で、全体のコストを抑えることができます。

中小規模のEC事業者の物流代行サービス選びで、まず検討してほしいのが、Amazonが提供するFBA(フルフィルメント by Amazon)マルチチャネルサービスです。

このサービスでは、Amazon.co.jpに出品者として登録する必要はありますが、Amazonの出荷を行っているFBA倉庫を利用し、Amazon以外のECサイトで販売している商品の出荷・配送・在庫管理を、Amazonに代行してもらえます。

ただし、取扱い商品や既存の物流体制、事業規模や事業形態などによっては、FBA倉庫を利用できなかったり、利用しにくかったりすることもあります。その場合、多くはFBAマルチチャネルサービス以外の物流代行サービスを探すことになります。

FBAマルチチャネルサービスは確かにとても便利なサービスですが、他にも便利な物流代行サービスがあります。また、料金やサービス品質など、FBA倉庫を意識したサービスも多くなっています。

なお、FBAでも2018年4月24日に手数料改定が行われています。大手宅配会社の運賃が値上がりしている以上、物流代行サービスでも料金の変動はあるでしょう。

コストを抑えたいと考えた時、サービスの利用料金を単純なコストと考えるよりは、そのサービスによりどれだけ業務が効率化されるのか、それまで物流業務を行っていた社内のスタッフの手が空くことで、どれだけ売上向上につながる施策を増やせるかという点を考慮したいところです。

ここからは、FBA倉庫がおすすめの場合とそうでない場合、FBAマルチチャネルサービス以外の物流代行サービスを検討する場合に、押さえるべきポイントをまとめていきます。

■FBA倉庫の利用がおすすめの場合

・スタートアップ~小規模、中規模のEC事業者
・多店舗展開をしているEC事業者
・1人~数人で運営しているEC店舗
・標準の在庫管理で問題のない商品を扱っている
・回転の速い商品を扱っている

ご存じの方が多いと思いますが、FBAマルチチャネルサービスは、Amazon.co.jpに出品者として登録している事業者が使える代行サービスです。Amazon以外の販売経路で販売している商品の出荷・配送・在庫管理までAmazonが代行してくれます。

Amazon.co.jpに出品者として登録する必要はありますが、多店舗展開をしている場合、FBA倉庫に在庫管理を一元化できるのが大きなメリットです。欠品にならないよう納品さえ注意すれば、自動で受注から出荷までを代行してもらえるので、一人や少人数でEC運営を行っている場合、非常に助かります。

ただし、FBA倉庫で扱えない商品、扱いが難しい商品もあります。たとえば、食品はFBA倉庫で扱うことができません。アパレルで、特にハイブランド商材などの扱いに注意が必要なものや、多品種小ロットの商品展開なども、FBA倉庫に預けるのは難しいかもしれません。また、FBA倉庫には在庫保管制限があり、回転が遅い商材や、あまりに大量の商品の扱いも難しくなっています。

詳しくは後述しますが、こういった場合はFBA倉庫以外のサービスを検討することになります。

なお、FBAの料金は、2018年4月24日に改訂されています。これにより、特に複数購入時のインパクトが大きくなっています。

新料金では、【配送代行手数料(個数あたり)+在庫保管手数料】となり、配送代行手数料は商品サイズによって変わり、在庫保管手数料は、商品サイズ・保管日数によって変わります。また、10月~12月の3ヶ月は割高になります。

■FBAを利用できない・利用しにくい場合

・中堅~大規模の事業者
・実店舗があるなどして在庫の一元化が難しい事業者
・自社ですでに在庫管理の仕組みが構築されている事業者
・標準的な在庫管理以外の対応が必要な商品
・冷蔵・冷凍での保管が必要な商品
・食品・食品を含む商品

前述のFBA倉庫がおすすめの場合を踏まえて、FBA倉庫を利用できない場合、利用しにくい場合としては上記のような事業者、商品があげられます。

こういった場合、かなりの規模の企業になると自社で物流倉庫やシステムを構築することもありますが、そこまでの規模でない場合は、他の物流代行サービスを検討した方が良いでしょう。

■FBA倉庫以外を利用する場合のポイント

□FBA倉庫で対応できなかった点に対応できるか

FBA倉庫以外の物流倉庫と物流サービスを検討する場合、当たり前ですが、まずはFBA倉庫で対応できなかった点に対応できるかを確認する必要があるでしょう。

たとえば、先に述べたようにアパレルで、ハイブランド商材でシワなどができないよう扱いに注意が必要な場合、それに対応できる仕組みやノウハウ、人員のいる倉庫、サービスなのかを確認する必要があります。アパレルに特化している倉庫やサービスでは、撮影・採寸・原稿作成の「ささげ業務」に対応できることを売りにしていることも多いです。

食品であれば、賞味期限管理や、冷蔵・冷凍保管ができるかなどもポイントです。

こういった保管方法が他の商品とは異なる商品や、加工を必要とする商品などは、同ジャンルの商品の取り扱い実績のある倉庫を選ぶと安心です。

□対応業務の範囲

前述の説明と重複するところがありますが、物流代行サービスでは、対応してもらえる業務の範囲がサービスによって微妙に違うことがあるので、どこまで対応してほしいのかを明確にし、検討しているサービスでそこまでが対応範囲なのか確認しましょう。

一般的に、物流倉庫および物流代行サービスで対応してもらえる業務としては、次のようなものがあります。

・入出庫管理
・在庫管理
・ピッキング・梱包
・受注
・カスタマーサポート
・返品対応
・コンサルティング
・流通加工
・ささげ業務

入出庫管理~ピッキング・梱包までは、対応してくれる倉庫、サービスが多いです。

受注~返品対応は、対応してくれるサービスを探す必要がありますが、売上が上がると他の業務を圧迫してくる、時間のかかる業務なので、代行してもらえると社内の人員の手がかなり空くようになります。

ただし、受注をはじめこれらの業務は、自社で確認した方が良いという場合もあるので、代行してもらう部分と自社で確認する部分が調整できるとなお良いでしょう。

代行サービスによっては、物流業務を効率化するためのコンサルティングまで行ってもらえる場合もあります。

流通加工やささげ業務の対応は、倉庫によりけりです。ささげ業務は、アパレルに特化した倉庫、サービスであれば対応してもらえることが多いです。

□EC基幹システムとの連携

この点を見落とすと、結局うまくいかないということになりがちです。しかし、意外と最後の方で気づきがちで、盲点となることも少なくありません。

どんなに他の条件が良くても、基幹システムとうまく連携できないと、結局は業務に時間がかかってしまい、ミスも起きやすくなります。

□料金

やはり、料金を無視するわけにはいきません。物流代行サービスはFBA倉庫を意識していることが多く、FBA倉庫と同等や、条件によっては安くなるということもあります。

一般的に、初期費用は抑え、月ごとに、出荷あたりの料金と取扱い商品あたりの料金を合算するといった料金体系が多くなっています。平均してどのぐらいの件数が出るのか、商品数、サイズなどによって、料金が変わることが多いので、自社に合ったサービスを選びましょう。

ただ、前述の通り、単に安いサービスを見つけるというよりは、総合的に見て、業務を効率化し、売上向上に貢献できるサービスを選ぶことが重要です。

□担当者やスタッフなど「人」の部分

同じようなサービスがあった場合、決め手となったのが「人」と答える事業者は少なくありません。「人」だけで選ぶわけにはいきませんが、ここの相性が良くないと、条件は良いはずなのに何となくうまくいかないということもあります。

そういう意味では、対面で話をすることや、実際に倉庫や代行作業の場を見ることができるのならば、雰囲気を確認しておくと良いでしょう。

■自動化できる倉庫がおすすめ

商材などにもよるので一概には言えませんが、FBA倉庫との比較で考えるならば、FBA以外を利用する場合も、受注~出荷を自動化できる倉庫、代行サービスがおすすめです。

特に、出荷だけでなく、受注から自動化できると、少人数で運営しているEC店舗はかなり楽になります。

自動化する場合は、システムの連携が問題なくできるかが重要になるので、この点が分かる担当者を交えて話を進めるようにしましょう。

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