EC業界への参入ハードルは年々低くなっています。特にAmazonへの出店は、ページ作成などの手間も少なく、フルフィルメント by Amazon(FBA)を利用すれば、受注や出荷などほとんどの業務をAmazonが代行してくれるので、スタートアップや小規模でEC店舗を運営したい人、ECを副業で行っている人などによく利用されています。

しかしさらにYahoo!ショッピングや楽天市場など他モールへの展開を行う場合、Amazonでは代行してもらえていた業務を自社でどう回していくか、考える必要が出てきます。

そこで本記事では、Yahoo!ショッピングや楽天市場など、Amazon以外のECモールに出店する場合、どのような業務が発生するのか、それはどのぐらいの手間とコストがかかるのかということを明らかにした上で、それらの業務を効率的に回すための方法として、FBAマルチチャネルサービスをはじめとした、発送代行について紹介します。

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Amazon出店はFBAが非常に優秀

すでにAmazonに出店されている方ならよくご存じかとは思いますが、Amazonに出店する際には、フルフィルメントby Amazon(FBA)が非常に便利です。FBAは、Amazonの配送システムを活用し、商品の保管から注文処理・出荷・配送・返品に関するカスタマーサービスまでを、Amazon側で代行してくれるというものです。

Amazonに出品している商品であれば1商品1点から利用可能で、利用料金は在庫保管手数料+配送代行手数で計算され、配送料(国内)不要、初期費用や月額固定費用も不要と、スタートアップや小規模のEC事業者にとってありがたい設定となっています。

また、Amazonの配送システムを活用、24時間365日対応、FBAを利用している商品はAmazonプライム対象商品となるなど、運営が楽なだけでなく、ユーザーへの訴求にもなるサービスです。セキュリティ面でも安心です。

Yahoo!ショッピング、楽天市場など他モールに出店する必要性

このようにAmazonへの出店は非常に手間が少なく行うことができるのですが、一方で、商品ページで訴求できる情報が限られているなど、店舗としてのブランディングを行うのは難しいと言われ、また、ユーザー層を広げるという点でも、どこかのタイミングでYahoo!ショッピングや楽天市場など他モールへの展開が必要になってくるでしょう。

流通総額などの規模で見ると、モールの中ではいまだに楽天が群を抜いていますが、2013年10月にヤフーが「eコマース革命」として出店料、手数料無料を掲げたことで、Yahoo!ショッピングに出店するEC事業者も急増しています。

ただ、いずれのモールもAmazonに比べると店舗運営の手間が増えます。もちろん、ブランディングやユーザーの拡大などそれだけのメリットもあるわけですが、いざ出店して困らないように、どのような業務が増えるのか、それをどうすれば回せるのかは、把握しておく必要があります。

Amazon以外のモール出店時に発生する業務

では実際に、FBA利用のAmazon以外のモールに出店する際には、どのような業務を自社で行わないといけないのでしょうか。Yahoo!ショッピング、楽天市場の出店案内のページからは、出店に際して必要なことなどをまとめた資料を請求することもできますが、今回は大きく5つ、「1.ページ作成、2.受注・出荷指示、3.ピッキング・梱包、4.出荷・配送情報連絡、5.返品対応・カスタマーサポート」に分け、それぞれの業務について詳しく見ていきます。

1.ページ作成

Amazonでは商品情報を登録することで既定の仕様でページが出来上がりますが、Yahoo!ショッピングや楽天市場などでは、どのようなページデザインにするか自ら作成していく必要があります。これが、まず一番手間のかかる業務でしょう。

ただ、ページデザインを自分でできるということは、それだけ店舗の特徴を出せる、ブランディングができるということでもあります。自社内で行うか、制作会社に依頼するか、いずれにせよ、ここはきちんと手間をかけるべきところです。特に、スマートフォン利用率が高まる今は、ビジュアル重視、縦スクロールに合ったページ構成の店舗が増えているようです。

2.受注・出荷指示

お客様から注文が入ったら、その注文を受けて、商品を引き当て、物流倉庫に対して出荷指示を出します。小規模であれば、物流倉庫を利用せず、オフィス内で出荷作業を行う場合もあるかもしれません。受注・出荷指示は基本的に注文データの確認、送付作業になります。FBAを利用しているとあまり意識しない業務ですが、なかなか時間の取られる業務です。

また、FBAであれば24時間365日対応が可能ですが、自社で行うとなると定休日の注文には対応できませんし、物流倉庫の場合は出荷指示を送る締め時間などがあり、それ以降の注文は翌日以降に回ることになり、対応スピードは遅くなりがちです。

3.ピッキング・梱包

出荷指示を基に、物流倉庫内でピッキング・梱包を行います。FBAであれば、Amazonのおなじみの梱包になるわけですが、自社で物流倉庫を手配する場合は、ピッキングミスが防げる体制か、梱包はどのように行われるかをきちんと確認しておくべきでしょう。

ピッキング・梱包は、EC店舗運営の中でも人手を必要とする業務ですが、セールやシーズンによって売上に波がある場合、その人員調整も難しいところです。オフィスでこの業務を行っている場合は、受注・出荷指示からこのピッキング・梱包作業で1日の業務時間の大半が取られているということも珍しくありません。

4.出荷・配送情報連絡

配送会社に荷物を託し、お客さまには出荷完了のお知らせを行います。不在再配達率の高さが問題となっていることもあり、EC店舗と配送会社側でも事前のお知らせを丁寧にするとともに、コンビニ受取などの選択肢を増やす店舗も増えつつあるようです。配達日時の選択・指定と同様に、受取方法の選択・指定もいずれ当たり前になるかもしれません。

出荷に関してEC店舗にとって気になることといえば、配送料金の値上げだと思います。特に自社で物流倉庫を手配し、配送会社と直接契約する場合は、今後、配送料金の動きには要注意です。ECを利用するお客様の中では、ヤマト運輸の評価が高い傾向にあるのですが、昨今の値上げの動きから、日本郵便など他の配送会社を検討する店舗も少なくありません。発送代行サービスなどでは、配送料金込みという料金設定もあります。

5.返品対応・カスタマーサポート

商品を出荷して、お客様に無事届いても、それで終わりではありません。出荷関連業務の中でも手間を取る作業のひとつが、返品対応です。返金にしろ、交換にしろ、手間もコストもかかります。特にアパレルECでは、サイズが合わない、思っていたものと違うなどの理由で返品交換が多く、その率は20~30%ほどにもなるようです。

また、返品対応に限りませんが、カスタマーサポートも、EC店舗運営における悩みどころです。モール店舗だと、電話番号は載せずメールアドレスか問い合わせフォームのみという対応も見かけます。しかし、直接顔を合わせることのないEC店舗で、電話やメールによるカスタマーサポートは、貴重な人の気配を感じさせるものでもあります。

最近では、チャットによるリアルタイムな接客を提供するEC店舗も出てきています。とはいえすべての質問にいつでも対応するのは不可能なので、営業時間で区切り、よくある質問は自動対応にして、自動では対応できない場合や有人対応に切り替えるという方法が主流のようです。

効率化すべき業務、重点を置くべき業務

これら5つに分けた業務の中で、複数の店舗を展開し、出荷数が増え売上が上がるにつれて追われるようになるのが、2~5です。逆に1のようなページ作成、また商品開発や企画にあてるリソースが圧迫されていきます。成長を続けるためには本来はそういった業務にこそリソースを割くべきなのですが、日々の注文、出荷に追われるとどうしても後回しになってしまいがちです。

2~5の中でも効率化すべきところが、2~4です。そのために、適宜業務をアウトソースすることをおすすめします。新たに人を雇うことも方法の一つですが、人件費や、注文に波があることを考えると、それよりも効率的なサービスがいろいろと登場しています。

FBAを利用していると意識しにくいですが、Amazonの出荷数と同量の出荷数を他の店舗で対応するとして、出荷関連業務にどのぐらいの時間、人手などリソースが取られるかを考えてみましょう。発送代行も目安は月の出荷件数が200~300件とも言われますが、ジャンルや店舗の状況によっても差が出てくるところです。

たとえば、今ある業務の半分以上の時間、人手が取られるのであれば、絶対に何らかの対策を取るべきです。現状はそこまでいっていなくて、その年の売上目標でそのぐらいになる規模を目指すのであれば、あらかじめ体制を整えておくべきです。ただでさえ注文に追われているのに、そこに新たなサービスを導入するとなるのは、導入後がいくら楽になるとは言えなかなか難しいことです。

Amazonから他モール展開しやすい発送代行サービス

発送代行の種類や選び方などは、別の記事で詳しく紹介していますが、FBAを利用していた方であれば、まず、FBAマルチチャネルサービスがなじみやすいのではないかと思います。FBAマルチチャネルサービスは、Amazon以外のEC店舗であっても、商品の出荷・配送・在庫管理をAmazonが代行してくれるというものです。

配送の際の外箱は無地のダンボールで、納品書および配送ラベルの出品者情報の印字をカスタマイズできるので、他モールの店舗の発送であっても心配はありません。ただ、FBAマルチチャネルサービスは、在庫数の上限がAmazonの店舗の出荷数を基準として定められるため、Amazonでの出荷より他店舗での出荷が大きくなるようであれば、使いにくくなる可能性はあります。

自社のスタイルに合わせていろいろと相談したいというのであれば、他にもさまざまな発送代行サービスが登場しているので、まずは条件の合いそうなサービスにいくつか問い合わせてみると良いでしょう。サービスを比較検討するにはどうしても時間がかかるので、本格的に忙しくなる前に動いておきたいところです。

また、FBAマルチチャネルや他の発送代行サービスも、そのほとんどは出荷指示を受けて商品の出荷から先を代行する形ですが、受注から代行してくれる自動出荷サービスもあります。先ほど紹介した通り、受注・出荷指示の作業というのも、データのやり取りとはいえ、なかなかに手間のかかるものですし、時間の制限もあり、常にすぐ対応するのは難しいところです。それが受注から自動化されることで、お客様にとっても利便性が高く、EC店舗としては多くの時間ができ、その分をさらなる売上向上のための施策に使うことができます。

効率化すべきところは即効率化!少人数で大きくなれるのがECのメリット

出荷関連業務を効率化する一方、手間暇をかけた方が良い業務というのも存在します。それが、ページ作成などのデザインや、商品開発・企画、プロモーションなどです。もちろん、その中にもデータ分析など効率化できるところはあるのですが、こういった業務は、自社内でノウハウを蓄積し、他店舗と差別化をはかっていくべきところです。

特に、Yahoo!ショッピングや楽天市場への複数店舗展開、さらには自社店舗を持つとなると、価格や対応スピードは前提として、こういった業務にどれだけ力を入れられるかが勝負になってきます。効率化できる分野が多いというのは、他の業界に比べて、EC店舗の大きなメリットです。ぜひ、最大限に活かせるようにしてください。

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