ネットショップを運営において、売上が伸びてくるにつれて考えなければならないことのひとつが、発送代行です。発送作業に追われて他の業務に手が回らなくなってきた、発送に遅れが出始めてきた……そろそろ発送を代行した方が良い。そうは思っていても、まだ自分達で何とかなっている、まだ早いのではないかという迷いや、どれぐらいコストがかかるのか、どんな業者が良いのか分からない、という不安を抱いている方も多いと思います。

そこでこの記事では、そもそも発送代行では具体的にどのような業務を外注することができるのか、またそれにはどのようなコストがかかるのか、そして計算式を元に発送業務を外注すべきタイミングの判断基準や、自社にあったサービスの選び方を紹介します。

まだ売上がそれほど大きくない個人経営や数人規模の企業でも、発送を代行した事で結果的にコストが下がり効率がアップしたケースも多々ありますので、ぜひ記事内の計算式や事例に当てはめて発送代行について検討してみてくださいね。


■発送代行のメリットとデメリット

ネットショップが成長する中で、当然のように検討される発送代行ですが、そもそも、発送代行によるメリットとは何なのでしょうか。大きくは、以下の3つにまとめられます。

  1. 商品開発や販促企画など売上に直結する業務に注力できる。

EC市場が拡大し、参入事業者も増え続ける中、中小事業者が成長していくためには、価格やスピードで競うのではなく、他社では代わりのきかない独自性を持ち、差別化をはかることが重要です。そのためには商品開発や販促企画に力を入れたいところ。しかしネットショップ運営においては発送業務に多くの時間を取られていることがよくあります。

そこで発送代行により、発送業務にあてていた時間やスタッフを、商品開発や販促企画にあてることができます。ネットショップ運営において本当にやりたいことができるとも言えるでしょう。

  1. セール時や季節変動にも簡単に対応でき、発送コストを抑えられる。

ネットショップ運営における課題としてあげられることが多いのが、セール時と平常時の注文量の差や季節変動への対応です。セール時や繁忙期の出荷遅延や受注制限を避けるため、臨時のスタッフを雇ったり、他業務の担当スタッフも発送業務を手伝ったりする場合が多いですが、それでは余計なコストがかかってしまい、売上向上のために行うべき他の業務の進捗も遅れてしまいます。

しかし発送代行では、代行会社側で人員やスペースを臨機応変に調整してもらえます。そのため、セール時や季節変動、急に大量の注文が来たとしても、最低限のコストで対応できます。また、商品の保管料や梱包資材費、配送料などのコストも、ネットショップが自社で手配するよも、発送代行の会社を通した方が抑えられることが多く、コスト削減につながります。

  1. 誤発送などのミスを減らし、発送スピードを上げるなど、発送の品質が安定。

個人や少ないスタッフで発送業務を行っていると、忙しさの中で、誤発送などのミスが起こることは少なくありません。また、発送までのスピードはどうしても遅くなってしまいます。

発送代行業者は、発送業務のための専門の設備や仕組み、ノウハウを持っていますので、大量の注文にもスピードや品質を維持し、安定した発送を実現できます。

では、発送代行のデメリットはないのでしょうか。ネットショップ事業者が発送代行を検討する際に、懸念されることが多いのが以下の点です。これらの点は、発送代行のデメリットとしてあげることもできますが、発送代行業者を選ぶ際のポイントにもなってきます。

  1. 自社にノウハウが蓄積されない。

これは発送代行に限らずですが、自社で行っていた業務を外注する際に、ほぼ必ず直面する問題です。確かに、業務をただ丸投げするだけでは、自社にノウハウを蓄積することは難しいでしょう。

しかし一方で、外注をうまく活用すれば、第三者の視点から、自社の課題を洗い出し、改善していくことができます。そのためには、ただシステムやツールを提供するだけでなく、自社の問題点について一緒に考えてくれる発送代行業者を選ぶことがポイントになってきます。

  1. アナログな対応が難しい。

自社内で発送業務を行っている場合、例えば、追加注文を同梱してほしいとか、発送をいったん止めてほしいなど、ある意味アナログな、個々の要望にも対応しやすい体制と言えます。しかし発送代行では、物流倉庫のシステムに従って商品が動きますので、あらかじめ設定されたこと以上の要望に対応できないことが増えます。

ただしこれは、ネットショップが成長する上である程度は避けられない変化とも考えられます。それを理解した上で、お客様のために必要な条件は何かを洗い出し、それに対応できる発送代行業者を選ぶ必要があります。

  1. 顧客情報流出のリスク。

発送業務を外注するということは、注文者の情報や配送先の情報、すなわち顧客情報を外部に渡すということになります。そのため、情報流出の可能性が高くなるという考え方もあります。

ただし、自社内で発送業務を行っていたとしても、情報流出のリスクがゼロというわけではありません。むしろ情報管理の環境が整った発送代行業者を選ぶことで、リスクを低下させることもできるでしょう。

■発送代行で実際に代行してもらえる部分

「発送代行」と一口に言っても、実は、業者によって、代行できる範囲には違いがあります。発送代行を検討する際には、まずコストに目が行きがちですが、それよりも前に、どのような業務を代行してもらう必要があるかを洗い出した上で、それが可能な業者の中で検討をする必要があります。

一般的に、発送代行業者が代行するのは、以下のような業務です。

・入庫:物流倉庫に入荷した商品を検品し、在庫に計上する。

・流通加工:入荷した商品の検品、ラベル貼付、セット組みや広告の同梱など。

・商品保管:入庫した商品を出荷まで適切な環境で保管する。

・ピッキング・梱包:出荷指示に基づき、商品やその他同梱物を梱包する。

・発送:梱包した荷物を宅配業者に渡し、出荷処理を行う。

・在庫管理:商品の入庫から出荷までの流れを管理する。WMS(物流管理システム=Warehouse Management System)と呼ばれるシステムを使用する。

この他、受注処理や決済、返品、問い合わせ対応なども合わせて代行する業者もあります。一般的な発送代行というと、物流業務がメインですが、それ以外のバックヤード業務も一括して代行する場合は「フルフィルメント」とも呼ばれます。

また、流通加工で、特にアパレル向けのサービスで多いのが、「ささげ」と呼ばれるサービスです。ささげは、「撮影・採寸・原稿」の最初の文字を取った言葉で、商品が入荷した倉庫で、ネットショップに掲載するための商品の撮影・採寸、そして紹介のためのコンテンツ作成を行うといったサービスです。

■発送・管理にかかるコストとは

そもそも発送業務には、どのようなコストがかかっているのでしょうか。自社内で発送業務を行っている場合、商品を入荷して保管、受注して発送するまでの間には、以下のようなコストが発生しています。

・人件費:発送・管理業務にあたるスタッフの人件費。

・保管費:商品を保管するための費用。場所代や温度管理が必要な場合はその費用。

・資材費:商品を梱包するための資材の費用。

・配送費:商品を配送する費用。

社内で発送業務を行う場合、かかっているコストは一見シンプルです。しかし、発送業務に時間やスタッフの労力を取られることで、その分売上を上げるための施策が後回しになったり、忙しさを原因とする誤発送などのミスや発送遅延が起こっていたりと、目に見えない損失が発生しているケースが多くあります。また、資材費や配送費は、個人経営や小規模のネットショップでは、高くついてしまっている場合が多いです。

■発送代行でかかるコストとは

では、発送代行の場合、どのようなコストがかかるのでしょうか。発送代行に関する費用は、まず、発送件数にかかわらず決まった額がかかる「固定費」と、発送件数によってかかる額が変化する「変動費」に分けられます。

個々の項目名は業者によって違いがありますが、固定費としては、以下のようなコストがかかります。

・施設使用料:商品を入庫・保管するためのスペースや、ピッキング・梱包作業を行うためのスペース使用料。

・運用管理費:WMS使用料や、その他発送作業に伴って必要な作業のための費用。

こちらも同じく個々の項目名は業者によって違いがありますが、変動費としては、以下のようなコストがかかります。

・入庫費:入庫の際の作業にかかる費用

・ピッキング・梱包費:出荷指示に基づいてピッキング・梱包作業にかかる費用。納品書やチラシ同梱についても1件あたりの単価が設定さる場合もある。

・資材費:梱包資材にかかる費用。発送代行の方が安い場合が多い。

・配送費:宅配業者の利用にかかる費用。発送代行の方が安い場合が多い。

その他にも、特別な流通加工を行う場合や、返品対応も外注する場合は、変動費として1件あたりの単価×取扱数がかかります。これらの費用は、配送代行業者によって、個別にカウントされる場合もあれば、まとめていくらという場合もありまし、変動費のみという場合もあります。そのため、複数の発行代行業者を比較する場合、コストに関しては、1出荷あたりおよそいくらになるかで比べると良いでしょう。

■発送を代行する判断基準

自社で発送業務を行う場合のコスト、発送代行を利用する場合のコスト、両方を考えた上で、では、発送を代行するタイミング、その判断基準をどこに置けばよいのでしょうか。

発送を代行してもらうタイミングとしては、さまざまな判断基準がありますが、感覚値としては、他にやりたい業務があるのに、1日の業務の中で発送業務がメインとなってしまっている、もしくはスタッフの多くが発送業務に取られてしまっていると感じたら、発送代行を検討すべきです。

具体的な数字としては、1カ月あたりの出荷件数が200~300件になると、発送代行を検討した方が良いと言われます。ただし、これはネットショップの規模や商材によっても変わってきます。そこで、別の考え方として、スタッフの勤務時間のうち、どれぐらいの時間が発送業務に割かれているかを考えてみると、分かりやすいかもしれません。

たとえば、小規模のネットショップで、代表者を含めて3名で運営している場合を考えます。2名のスタッフが主に現場の業務にあたる場合、フルタイムのスタッフでれば、2人の勤務時間は1日8時間×2名で16時間です。

この16時間のうち、もし半分以上が発送業務に割かれているとすれば、発送業務は外注した方が良いでしょう。発送業務にどのぐらいの時間が割かれているかは、もし発送業務のためだけにまとまった時間を取っていない場合は、1件あたりの発送にかかる時間×1日の平均出荷件数で考えてみてください。

感覚値とこの計算で、発送業務が日々のメインの業務になりつつあると判明したら、間違いなく、発送代行を検討すべきタイミングと言えます。このタイミングでは、1件あたりの発送業務をもっと効率化、短時間化すれば何とかなると感じることもあるかもしれませんが、今後さらに売上を伸ばしたいと考えるならば、ミスの頻発を防ぐためにも、やはりこのタイミングでの検討がベストです。

発送代行を開始する際には、社内で行う業務との連携が円滑にいくように、担当スタッフとの情報共有をしっかりと行っておくことも大切です。受注業務を社内で行う場合は、出荷指示をスムーズに出せるように、社内から代行業者にどのようなデータをどのような形で渡すのか、開始前に自社のスタッフにレクチャーする機会を必ず設けてください。

また、出荷に関する問い合わせがあった際に、どこにどう確認すれば良いかを明確にしておく必要もあります。自社内で発送業務を行っていたときと違い、すぐに状況の確認が取れないこともありますので、そのことを前提として問い合わせ対応のテンプレートを作っておくと良いでしょう。

これらの点を押さえておけば、後は代行業者に任せることができるので、発送業務に関してはかなり自社のスタッフの負担が減るはずです。

■発送を代行して効率がアップした事例

ここで、具体的なイメージをしていただくために、発送を代行して効率がアップした事例を2つ、紹介したいと思います。

1つ目の事例は、PC・PC周辺機器を扱うネットショップで、複数のモールに展開をしていたA社です。

A社では、複数のモールに展開していることもあり、1日数百件の注文がありました。そのため、受注処理業務のためのスタッフが2名、出荷管理業務のためのスタッフが7名、フルタイムで勤務していました。しかし、受注から発送までを代行するシステムを導入したことで、受注管理業務はスタッフ1名が5時間程作業するだけで済むようになり、出荷管理業務に関しては自社のスタッフが必要なくなりました。つまり、スタッフ8名以上のリソースが、他の業務に割けるようになったのです。

2つ目の事例は、供養品という少し独特なカテゴリの商品を扱うネットショップで、楽天市場に出店をしていたB社です。

B社では、出荷作業の煩雑さに課題を感じていました。特に、週末にたまった注文を週明けに処理する際に、業務にムラが出ることを改善したいと考えていました。そこでB社が導入したのが、自動で出荷を行ってくれる発送代行システムです。このシステムの導入により、出荷作業が効率化され、担当者の負荷が減り、商品の見直しや店舗運営の向上など、他の業務へ注力する余裕ができました。さらにB社が導入したシステムは、土日も自動で出荷が行えるもので、その点も大きなメリットでした。

以上の事例のように、発送代行を利用することのメリットとして、業務が効率化され、他の業務にリソースを割けるというのは大きいことです。そして発送代行を成果に結びつけるためには、自社の発送業務のどの点に課題があるのか、発送業務を効率化することで何を実現したいのかを明確にしておくと良いといえるでしょう。

■発送代行業者選定の注意点

ここまで、発送代行について解説してきましたが、これらを踏まえて、発送代行業者を選ぶ際に、どのような点に注意したら良いのでしょうか。以下の5つの点は、まず注意すべき点としてあげられます。

  1. 対応できる作業内容・条件

ここまで解説してきたように、発送代行と一口に言っても、その対応範囲やコストは業者によって様々です。現状どこまでの業務を外注したいのかということはもちろん、将来成長した際に、どこまで対応してもらえるのかも重要です。

また、前述の一般的に発送代行できる業務のひとつひとつについて、細かく確認していくと良いでしょう。たとえば、商品保管でも常温・冷蔵・冷凍の温度帯別の管理が必要な場合もありますし、ピッキング・梱包でもギフト対応などがどこまで可能か、発送でもどこの配送業者を使うかなど、より細かな確認が必要です。

発送代行作業の大部分は物流倉庫で行われます。そこで、対応できる作業内容はもちろんのこと、物流倉庫の営業日や、出荷指示の締めの時間なども確認する必要があります。発送代行を利用するメリットとして、セール時や季節変動へ対応しやすいという点をあげましたが、実際にネットショップ側でどの程度の変動幅が見込まれ、物流倉庫側でどの程度の対応が可能かという点も要注意です。イレギュラー対応には追加料金がかかるケースもあります。一方、発送代行のデメリットとして、アナログな対応が難しいという点をあげましたが、物流倉庫側の対応時間や日時、作業内容によっては、ある程度柔軟な対応も可能になります。

こういった点をきちんとヒアリングしてくれる発送代行業者ほど、信頼がおけるとも言えます。

  1. システム

物流倉庫ではWMSというシステムが使われていることは前述の通りですが、このシステムの形式は、業者によってさまざまです。ネットショップ側が現状使用している受注・出荷管理のシステムと、物流倉庫およびその他発送に関わるシステムが問題なく連携できるか、また、実際に外注した際に、社内のフローがどう変わるのか、注意しなければなりません。

ここがうまく連携できないと、効率化のために発送代行を利用したのに、余計に業務が増えるということにもなりかねません。また、発送代行のデメリットとして、個人情報流出のリスクをあげましたが、ネットショップ側のシステムと発送代行側のシステムがどう連携するかという点は、個人情報の扱いにも大きく関わりますので、併せて注意すべき点です。

  1. 現場と実績

発送代行業者側の担当者とは別に、できれば、物流倉庫の現場の設備環境やスタッフの様子も確認しておきたいところです。こういった点は、数字に表れない部分で、実は発送品質に大きく関わってくるところだからです。そのため、何かあれば直接行ける距離に物流倉庫があった方が良いとも言えます。

しかし、それが難しい場合は、自社の取扱商品やジャンル、現状の規模感と目指す規模感と同様の実績があるかという点がポイントになってきます。もちろん、現場を確認できる場合もこの点はチェックしておくべきですが、現場を確認できないのであれば、なおさら重要なポイントになります。

■主な発送代行サービスの形と費用感

最後に、実際に発送代行業者を選ぶ際の参考として、主な発送代行サービスの形とその料金形態を紹介します。どこまでの業務を外注するか、また何を優先するかによって、4つの形に分けました。

FBAマルチチャンネルサービス

Amazonが提供する発送代行サービスです。受注管理はネットショップ側で行い、商品の出荷・配送および在庫管理をAmazonが行います。小規模ながら自社ECサイトやモール店舗、実店舗など、複数の販売経路があり、効率化を重視する場合におすすめです。無地のダンボールで、それ以外はAmazon.co.jpから発送される場合と同等の発送品質です。固定費はなく、在庫保管料と配送代行手数料の合計が利用料金となります。

物流倉庫集約型

複数の物流倉庫と提携する業者が提供する発送代行サービス。受注管理はネットショップ側で行い、商品の出荷・配送および在庫管理を外注する形となります。受注業務にはそれほど手間がかかっておらず、主に物流倉庫での業務を効率化したい場合におすすめです。料金形態としては、入庫や保管の1件ごとの単価×取扱件数、また配送に関してはサイズや配送形態別に1件ごとの単価×取扱件数の変動費が主流です。

個別倉庫型

物流倉庫会社が個別に提供する発送代行サービスです。受注管理はネットショップ側で行い、入荷から出荷までを外注する形となります。発送元エリアを選びたい場合や、物流倉庫内での作業を細かく設定したい場合におすすめです。料金形態としては、スペースやシステムの使用料などの固定費の上に、入荷・流通加工・ピッキング、その他出荷のために必要な作業のそれぞれ1件ごとの単価×取扱件数の変動費がかかるというパターンが主流です。

サービス型

商品の入荷から出荷までの物流倉庫ベースの業務だけでなく、受注管理などネットショップのバックグラウンド業務を取りまとめるサービス。他の企業が提供する複数のサービスやシステムと連携してサービスを提供します。多店舗展開をしており、発送だけでなく、バックグラウンド業務全般を効率化したいネットショップにおすすめ。料金形態としては、利用している基幹システムによってプランがあり、受注件数、発送件数の規模ごとに費用が設定されているケースが主流です。低予算から

発送代行について、お役に立てたでしょうか。まだ出荷ボリュームが小さいと思っていても、アウトソースした方が手間やコストのメリットが大きくなる場合も少なくありませんので、ぜひこの記事を参考に、一度検討してみてくださいね。



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