EC市場の拡大の中で、新規参入事業者も増加しています。その中の一つの特徴として、副業でのEC運営、またそこからの独立や、外に働きに出にくい子育て中の主婦の方がECを始めるなど、個人・小規模のEC参入も増えてきています。

そういった方の多くが最初に選ぶのが、Amazonへの出店です。Amazonでは、EC運営に必要な業務の多くを代行してくれるサービスがあり、個人・少人数でも効率的に運営が可能です。Amazonで一定の売上を確保できると、多店舗展開によるリスク分散や新規開拓、ブランドの確立なども、選択を広げやすくなります。

ただ、ECに携わるのがはじめてとなると、EC運営全体でどんな業務が発生するのか、特に目に触れにくいバックヤードの業務などは、漠然としているかもしれません。本記事では、ECを始めるには何が必要なのか、その全体像を把握しながら、なぜAmazonが最初に選ばれることが多いのかをまとめていきます。

Amazon出品サービスとは

Amazonに出品する場合、「大口出品サービス」と「小口出品サービス」とがあります。

大口出品サービスは、月額登録料4,900円と、注文成約時に販売手数料が発生する形となります。出品数やカテゴリー無制限(一部制限あり)、オリジナル商品も出品でき、大量の商品はまとめて出品が可能です。データ分析レポートも利用できるので、本格的にECを運営したい人に向いています。

小口出品サービスは、マーケットプレイスへの出品となり、Amazonに既にある商品のみ販売が可能です。固定費はかからず、1点注文ごとに100円の基本成約料と、注文成約時に販売手数料が発生する形となります。データ分析レポートなどは利用できません。

また、小口出品サービスは、出品できるカテゴリーに制限があり、時計、アパレル・シューズ・バッグ、ジュエ リー、ペット用品、ドラッグストア、コスメ、食品&飲料カテゴリーの商品は出品することはできません。

ECを始めるなら、将来のことを考えても、大口出品サービスの方が良いでしょう。

販売手数料は商品のカテゴリーによって違い、メディア商品(本、ミュージック、ビデオ・DVD)は、商品価格に以下のパーセンテージをかけた金額、メディア以外の商品は、商品代金の総額(配送料、またはギフト包装料を含む)に以下のパーセンテージをかけた金額となります。

45%:Kindleアクセサリ
15%:本、CD/レコード、ビデオ・DVD、TVゲーム、PCソフト、ペット用品、文房具・オフィス用品、ホーム(家具・インテリア・キッチン)、ホームアプライアンス、DIY・工具、産業・研究開発用品、腕時計、ベビー&マタニティ、服&ファッション小物、シューズ&バッグ、この田カテゴリー
10%:(エレクトロニクス、カメラ、パソコン)附属品(販売最低手数料は50円)、ドラッグストア、ビューティー、スポーツ&アウトドア、カー&バイク用品、おもちゃ・ホビー、食品&飲料、
8%:エレクトロニクス(AV機器&携帯電話)、カメラ、パソコン・周辺機器、楽器、大型家電、

なお、メディア商品(本、ミュージック、ビデオ・DVD)は、販売手数料に加えてカテゴリー成約料も発生します。

出品方法は非常にシンプルで、出品用アカウントをオンラインで登録すれば、あとは出品が可能です。登録時には、メールアドレス・クレジットカード・電話番号(登録時の認証用)・銀行口座情報があればOKです。

EC運営に必要な業務とは

Amazonに限らず、ECを運営するとなると、大まかに考えて、以下のような業務が発生します。Amazonでは、これらの業務の負担が軽く、代行してもらえるサービスが多くあるため、個人・小規模のEC運営におすすめです。

・商品開発、仕入れ
・サイト構築
・受注・出荷・在庫管理
・決済
・カスタマーサポート
・分析、販促……etc

以上、それぞれの業務について詳しく見ていきます。

「商品開発、仕入れ」で差別化を図る

ECを運営するなら、何を売るかということは、最も基本的かつ重要なことです。

最初から販売したいものが決まっているのならば、その商品にニーズはあるのか、競合はいるのか、競合はどのような人に向けてどのような価格で販売しているのかなどを、Amazonと、他のモールについてもリサーチします。

PB商品を作るのであれば、そもそも同じ商品はないか、他の商品と違いを明確化できるか、その商品を安定して製造できる環境があるかなども、注意すべきところでしょう。

個人、小規模でECを始める場合、売りたい商品があるというより、まずはECを始めてみたいという場合もあります。そういった場合は、中国など海外から商品を安く輸入し、それをECで販売するという形が多くなります。

いずれにせよ共通するのが、ニーズがあって競合がいない、少ない商品をいかに見つけるかということです。それば、Amazon、ひいてはECで成功するための鍵となります。特にAmazonやモールでは価格で比較されることが多いため、売れ筋でもよくある商品は、価格競争に陥り利益を出しにくくなります。

「サイト構築」は目的に応じたプラットフォームを

モールに出店する場合、すでにプラットフォームがあるため、サイト構築にそれほど手間をかけずに済みます。

特にAmazonは、商品の登録さえ行えば、あとは商品画像ぐらいで販売が可能です。登録した情報がAmazonのページにそのまま反映されるので、HTMLなどの専門知識は不要です。

他のモールでは、自社サイトほどではないにせよ、いろいろとコンテンツを作成する必要があります。その代わり、自社サイト、他のモールの方が多少なりとも店の個性やブランドを打ち出すことができます。

Amazonはこの点が弱いわけですが、個人・小規模でECを始めるという場合は、まずはAmazonでEC運営の方法をつかみ、一定の売上と利益を上げることができれば、自社サイトや他モールへの展開がしやすくなります。

「受注・出荷・在庫管理」は徹底して効率化を

注文データを処理して物流倉庫に出荷指示を出し、倉庫で商品をピッキング・梱包して出荷。そして出荷に応じて在庫管理をする。この一連の業務は、売上が上がるにつれ時間とコストを大きく圧迫してきます。商品を保管、梱包作業をするためのスペースも必要です。

最初は自宅などで出荷作業を行う場合も多いですが、どこかの段階で物流倉庫を探す必要があります。また、倉庫内で必要な資材や人員を確保することも考えなければなりません。

Amazonでは、「フルフィルメント by Amazon」という、Amazonの配送システムを活用し、商品の保管から注文処理・出荷・配送・返品に関するカスタマーサポートまでを代行してくれるサービスがあります。

FBAを利用することで、出品者は受注・出荷・在庫管理をすべてオンライン上で完結できます。自動で注文を受けて自動で出荷されていくので、管理画面に入るのも毎日でなくてよく、週に1日程度という人も珍しくありません。

FBAの利用方法としては、まずAmazon出品サービスで商品を登録し、出品管理ツール(セラーセントラ)の在庫画面でFBAに出荷したい商品を選択、出荷元を「出品者から出荷」から「Amazonから出荷」に変更します。

その後、セラーセントラルでAmazonフルフィルメントセンターに納品するための手続きを行い、実際に商品を納品したら作業は完了です。

料金は、在庫保管手数料(商品サイズ[体積]・保管日数で日割計算)と配送代行手数料(個数および重量にて計算)を合わせたものになります。配送料(国内)の追加負担や、初期費用・固定費がかからず、利用分のみ料金を支払えば良いという形になっています。

他モールや自社サイトでFBAを利用しない場合、受注に人手が必要ですし、出荷に関しては倉庫や梱包資材、人員の手配が必要で、そのそれぞれにコストがかかります。こういった業務を代行するサービスはいくつも登場していますが、FBAのように完全お任せで進められるものは少なく、しかもAmazonの配送システムを活用している安心感もあります。

また、Amazon以外の倉庫で販売している商品についても、出荷・配送・在庫管理、カスタマーサポートまで代行してくれる、「FBAマルチチャンネルサービス」も登場しています。

FBAマルチチャンネルサービスの場合、受注や倉庫への出荷指示は自社で行う必要がありますが、シッピーノを利用することで、AmazonにおけるFBA利用と同じく、受注から出荷まで完全自動化することが可能です。

「決済」は何より安心感!

決済には、何より安心感が必要です。また、ページ遷移が少なく、ユーザーに迷いや面倒くささを感じさせないという点も重要です。

Amazonの場合、購入者から回収した代金は、銀行振り込み手数料をAmazonが負担した上で、出品者の銀行口座に振り込まれます。ユーザーにとっては安心感がありますし、出品者にとっては手間が省け、情報流出のリスクも減らせます。

「カスタマーサポート」は問い合わせの来ない体制を

カスタマーサポートは、個人や小規模の場合はメールがメインになるでしょう。

お客様からの問い合わせにはどうしても時間を取られてしまうので、そもそも問い合わせが起こらないよう情報を丁寧に掲載すること、不明点やミスが出ない体制を組むことがまず大切です。

その上で、カスタマーサポートで多いのが、配送に関する問い合わせです。この点、FBAを利用することにより、円滑な対応が可能です。さらに、カスタマーサポートの中でも手間がかかるのが、返品対応です。FBAでは、これもAmazonに代行してもらえます。

お客様を集めるための「分析、販促」施策を

最後に、分析、販促です。ECを始めたからといって、何もせずに商品が売れることはありません。

ここでモールが強いのは、モールそのものに集客力があるということです。たとえるならば、有名ショッピングモールやビルの中に出店するような感じでしょう。特にAmazonは、PCから月間1,624万人、モバイル端末から月間3,296万人のユニークビジターが訪れるとのデータもあるほどで、多くの人が訪れる、集客力のあるプラットフォームです。

PCだけでなくモバイル・タブレットにも対応しており、SEO・ SEM、レコメンド機能、アソシエイトプログラム、カスタマーレビュー、まとめて購入など、ECサイトにほしい機能が最初から揃っています。さらに、以下のようなレポートも無料で提供。こういった機能や情報を活用することで、Amazonでは少人数で最大限効率的なEC運営が可能になっています。

・ビジネスレポート:出品商品数や閲覧回数・購入数・売上などの販売データや、ショッピングカートの獲得率、出品者の出品商品全体での販売動向の推移。
・Amazon出品コーチ:「在庫切れもしくは在庫が少なくなっている商品」、「価格見直し推奨商品」「出品推奨商品」など出品状況に応じて個別にカスタマイズしたレポート。
・出品者のパフォーマンス:出荷の遅延や注文キャンセル、購入者からの質問への回答時間などの顧客満足指数、購入者からの評価に基づく出品者のパフォーマンス状況。

他にも、有料にはなりますが、出品中の商品をAmazon.co.jp内に広告掲載できる「Amazonスポンサープロダクト」というサービスもあります。

見えない業務を踏まえた上での商材、サービス選択を

以上のように、ECサイト運営は、消費者として見えている部分よりはるかに多い、見えない業務に支えられています。こういった業務にどれだけ人手とコストが必要なのかを踏まえた上で、商材選びや価格設定ができると、売上も利益も伸ばしていけるでしょう。

そしてAmazonへの出品は、そうした見えない業務を最大限省力化、効率化してくれるサービスであり、まずECを始めたいという人におすすめできます。

シッピーノ資料DL