EC事業をスタートする際に、ハードルが低く立ち上げやすいのが、モールです。

中でもAmazonは、規模の大きさと、サイト制作や出荷業務など運営を省力化できる仕組みが整っているという点で、個人や小規模の事業者が最初に出店先に選ぶケースが多くなっています。

また、eコマース革命により出店料・手数料無料を掲げるYahoo!ショッピングも、コストの面でハードルが低いため、Amazonと合わせて初期の出店先として選ばれやすくなっています。

そんなAmazon、Yahoo!ショッピングなどのモール、プラットフォームに対し、出店のハードルは上がるものの、国内EC市場の初期からB to C市場の基盤を築き、いまだ大きなシェアを誇るのが、楽天市場です。

ECモール出店では、顧客層の拡大やリスクの分散のために、複数店舗を展開する方が良いとされます。大きな市場を持つ楽天市場への出店は、EC事業成長の段階で、必ず検討することになるでしょう。

ただ、楽天市場は、コストや出店・管理の手間の面でハードルが高く、出店を躊躇う事業者も少なくないようです。しかし、楽天市場であっても、それらのコストや手間を省力化、効率化するサービスも登場しています。

本記事では、楽天市場出店時に実際にどのようなコストが発生するのか、また、出店・管理に伴いどのような業務が発生するのかを明らかにした上で、それらのハードルを下げる方法を紹介します。

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楽天市場に出店するメリット

ここで改めて、楽天市場の強みである規模の大きさについて、詳細を見ていきます。

楽天市場の2016年における年間国内EC流通総額は3兆95億円で、前年比+12.0%の成長。単純計算で1日あたり82億円の流通総額となっています(※1)。
※1 出典:楽天株式会社「2016年度通期及び第4四半期決算説明会資料」

Amazonの市場拡大やYahoo!ショッピングの急成長、新規モールやプラットフォームの参入など競争の激しいEC市場ですが、楽天市場はなお国内最大級のモールとして大きなシェアを保っています。

インターネット通販全体で見ると、楽天市場のシェアは25.6%。カテゴリ別にみると、特にアパレル(32.6%1)、食品・産直品(37.4%)、また生活雑貨(39.9%)でも大きなシェアを占めています(※2)。
※2 出典:株式会社富士経済「通販・eコマースビジネスの実態と今後 2017」商品カテゴリは商品全体から一部商品を抜粋。シェア(全体・カテゴリー別)はすべて2016(見込)。

これだけ大きな市場ですから、当然そこに集まるユーザーも大きな数となります。

楽天市場を利用するユーザーのほとんどは、楽天会員です。楽天会員数は8,750万人。楽天スーパーポイントを重視する傾向が強く、ポイントを有効活用することにより、新規ユーザー獲得、リピート顧客獲得につながりやすくなります。

これらの点で、AmazonやYahoo!ショッピングとはまた違ったユーザー層にアプローチでき、売上拡大にもつながります。Amazon、Yahoo!ショッピングなど比較的出店のハードルが低いモールが軌道に乗った後に、楽天市場に出店するというパターンが多くなっています。

楽天市場出店のハードル

楽天市場出店では、コストと出店・管理の手間がかかることが、主なハードルとされます。では実際に、どのようなコストがどのぐらいかかり、出店・管理のためにどのような業務が必要となるのでしょうか。

楽天市場出店に関するコスト

楽天市場出店に際しては、基本的なコストとして以下が発生します(料金はすべて税別表示)。初期登録費用は共通、月額出店料とシステムサービス利用料が、出店プランによって変わります。また、決済サービス利用料金も利用状況によって変わります。

・初期登録費用:60,000円
・月額出店料: 19,500円~100,000円
・システムサービス利用料金
―システム利用料:PC経由の月間売上高の2.0%~最大6.5%(
―RMS全商品モバイル対応サービス:モバイル経由の月間売上高の2.5%~最大7.0%
―楽天スーパーポイント:楽天会員が購入した代金の通常1.0%
―モールにおける取引の安全性・利便性向上のためのシステム:月間売上高の0.1%
―楽天スーパーアフィリエイト:アフィリエイトを経由した売上の1.3%~
・決済サービス利用料金
―カード自動決済処理機能 R-Card Plus:月額3,000円+2.65%~+処理料
―楽天マルチ決済サービス:2.65%~
―楽天バンク決済:155円/税込
―楽天口座決済(銀行振込決済)

楽天出店のプランには以下の4つのプランがあります。プランによって、料金の他に登録可能商品数・画像容量の上限が違ってきます。

・メガショッププラン:商品点数20,000点以上の大規模の事業者向け

登録商品数・画像容量:いずれも無制限
月額出店料:100,000円(税別)※半年ごとの2回分割払

・スタンダードプラン:月商約132万円以上を目指す中小規模の事業者向け

商品登録/画像容量:~20,000商品/~5GB
月額出店料:50,000円(税別)※半年ごとの2回分割払

・がんばれ!プラン:固定費を抑えたいスタートアップの事業者向け

商品登録/画像容量:~5,000商品/~500MB
月額出店料:19,500円(税別)※年間一括払

・ライトプラン:販売期間が限られている商材向け。

他のプランは契約期間が1年ですが、このプランのみ契約期間は3ヶ月となっています。
商品登録/画像容量:~5,000商品/~500MB
月額出店料:39,800円(税別)※3ヶ月分一括払

楽天出店コストのシミュレーション

楽天市場の出店・開業案内のページでは、目標月商と予想客単価を入力することにより、平均プランごとの月額費用をシミュレーションできるようになっています。

楽天出店の4つのプランのうち、おそらくはスタンダードプランに該当するEC事業者様が多いのではないかと思います。そこで、このシミュレーションを利用して、スタンダードプランでのコストの目安を出してみました(料金はすべて税別)。

なお、シミュレーションの条件として、以下の設定がされています。また、予想客単価は5,000円(送料・税込)としました。

・売上比率 パソコン:40%・モバイル:60%
・楽天会員比率(楽天スーパーポイントの付与率)95%
・売上の30%がアフィリエイト経由(楽天の平均値参考)
・売上の70%がカード決済の場合を想定(その他の決済利用料は含まず)

まずは月商100万円の場合ですが、月額費用は87,700円(月商の8.77%)となります。次に月商300万円の場合、月額費用は247,100円(月商の8.24%)となります。

スタンダードプランは月商約132万円以上を目安としたプランですから、おおよそこのぐらいの月額費用がかかると考えておくと良いでしょう。

また、これに加え、カード決済以外の決済方法の利用料や、その他のサービスを利用した場合の料金なども発生してきます。

これらのコストは、Amazon、Yahoo!ショッピングなどに比べ計算が複雑で、ここにさらに受注や出荷などの業務が発生するとなると、やはりコストも大きくなっていきます。

楽天市場への出店と管理の方法

楽天市場への出店と、店舗オープン後の管理は、どのようなフローになるのでしょうか。

申込から店舗オープンまでの流れと時間の目安

出店申込では、必要書類を揃え、審査を受けます。
申込から審査で、2週間~1ヶ月がかかります。

楽天市場の審査は他モールに比べると厳しめと言われます。また、開業届けもしくは法人登記が必要になるため、副業でEC事業を行っている場合などは、出店が難しいケースになります。

審査が通ったら、楽天市場での店舗管理を行うシステム「RMS」の利用開始となります。このRMS利用開始日が課金開始日となり、ここで出店料の入金を行います。

RMSの利用を開始後、店舗ページの作成など準備を進めます。
店舗ページの完成後、オープン希望日3営業日前までに、店舗オープンを申請します。準備にどの程度時間をかけるかは、店舗によりますが、目安としては3週間~1ヶ月を見ておくと良いようです。

店舗ページ作成の流れと必要コンテンツ

楽天市場出店にあたり、まず時間がかかるのが、店舗ページ作成です。

基本は、RMSから必要とされる情報、コンテンツを入れ込んでいきますが、自社で用意しなければいけないコンテンツも多くなります。具体的には、商品ページで使用する商品画像、商品情報、キャッチコピー、また共通パーツで使用する看板画像、レフトナビの情報などが必要になります。

これらの商品情報を整理したり、画像を撮影したり、文章を考えたりなどの作業は、店舗の差別化を行うために重要な部分であり、手間と時間をかけるべき部分です。

店舗オープン後の管理作業

店舗ページが完成してオープンした後は、RMSで受注管理を行います。

フローとしては、メールもしくはRMSで受注を確認、それを基にピッキング、梱包を行い商品発送、発送に伴う諸連絡を行い、配達が完了したら一連の受注作業が完了です。

こう書くと単純な流れですが、注文数が増えるごとに受注・出荷業務にかかる時間と手間は増えますし、出荷業務に関しては、一定の規模になれば物流倉庫を手配する必要も出てきます。

特に、AmazonからECを始め、FBA倉庫を利用していた事業者は、受注から出荷が自動化されているため、新たに発生するこれらの業務をどう裁くかが、新たな課題となってきます。

シッピーノの楽天プランで出荷を自動化

業務の効率化という点では、出荷を自動化するサービスを利用することができます。

シッピーノの楽天市場のプランでは、AmazonのFBAマルチチャネルサービス、もしくはEC物流を多く手掛ける清長倉庫のサービス「LogiMoPro(ロジモプロ)」を利用することで、受注~出荷業務を自動化することができます。

出荷は完全自動化と、RMSで注文を確認後に自動出荷を選択できるプラントがあります。初期費用はかからず、出荷件数に応じた月額費用となるので、小規模からでも利用しやすい料金体系となっています。

副業、楽天市場出店前に!テスト販売で需要を知る

楽天市場出店に必要なコストやページ作成の手間を省くという点では、シッピーノが運営する匠ショップでの「テスト販売」プランが活用できます。

これは、楽天などモールでの商品登録、受注処理、出荷業務、販売までシッピーノが代行するというサービスで、FBAや、倉庫管理サービスの「ロジザードZERO」に対応している倉庫を利用している事業者を対象としています。

特に、FBAを利用している場合は、サービスに申し込み、登録したいAmazonの商品コードを送るだけで、利用開始できます。この間、10分ほど。

いきなり楽天市場などのモールに出店するのはリスクが大きいという場合は、このテスト販売プランで、その商品が実際に売れるのか、どのような層のどのような需要があるのかを確かめてみると良いでしょう。

また、副業などで自力での出店が難しいという方にもご活用いただけます。

参考資料:
「楽天ICHIBA出店ガイドブック」
「楽天ICHIBA出店までの流れ~各種料金とお手続き~」
楽天市場への出店・開業案内(https://www.rakuten.co.jp/ec/)

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